A5版 156頁 1500円
編:全国マイケアプラン・ネットワーク
著:橋本典之、島村八重子
発行:全国コミュニティライフサポートセンター(CLC)
発売:筒井書房
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はじめにより
「介護」「介護を受けている人」「家族の介護をしている人」をイメージしてみてください。頭に浮かぶのはどんなことですか?介護を受けている人に対しては、「かわいそう」「もう人生が終わった人」家族の介護をしている人に対しては、「運が悪かった」「気の毒」「暗い」そして、「介護」は「人生の中で出会いたくない落とし穴」・・・でしょうか?
果たして、本当にそれだけでしょうか?それだけでいいのでしょうか?介護地獄、介護殺人など暗いニュースがあとを絶たず、どうしてもそちらの方がクローズアップされてはいますが、一方で「介護から多くのことを学んだ」という人、また、介護を受けながら、最期まで「自分の人生」を全うする人もいるのです。
介護を、「つらいもの」「苦しいもの」「試練」だけで片付けるのではなく、このあたりで、「どうしたら介護がプラスになるようにとらえられるのか」を、考えてみてもいいのではないでしょうか?
最近、ケアプランの自己作成を始める人が増えています。ケアマネジャーに依頼しても利用者負担はありませんし、事業者との連絡調整など面倒なこともたくさんありますし、自治体に毎月書類を届けなくてはなりませんし、間違えないように神経を使わないといけませんし、それに、いろんな人から変人扱いされます…。とにかく、介護保険の利用者の中では、圧倒的なマイノリティであるケアプランの自己作成者。でも、その満足度は異様に高いのです。
身近な人のケアプランを自己作成した人が口を揃えて言うことがあります。「介護をしたことが、自分のこれからの人生の大きな糧となった」また、自分で自分のケアプランをたてながら暮らす人は、「介護を受けていても人生の主役は自分」と胸を張ります。そしてさらに続けて、「自己作成を通して、自己作成することのたいへんさ以上に、大切なことに気付いた」。それを私たちはマイケアプランと呼んでいます。
自己作成をすることで見えてきた、「自己作成をすることよりも大切なこと」って一体なんなのでしょうか?そしてマイケアプランって?介護をプラスに転じるヒントはこのあたりにあるのではないでしょうか?
私のところに一人の若者が来ました。ふとしたことから、マイケアプランを知り、興味を持った若者です。
自分でケアプランをたてて得られる充足感はなんなのか、そもそもケアプランを自分で立てるってどういうことなのか、そこからたどり着く大切なことっていったいなんなのだろうか?
そして「マイケアプラン」って一体なんなのか? 彼は、そんな問いかけの答えを探したいと思っています。この本の扉を開いてくださった皆さんも、同じ思いなのではないでしょうか?
そこで私は彼に、何人かの自己作成者を紹介しました。これから彼を、自己作成者に会う旅に送り出そうと思います。よろしければ皆さんもどうぞ一緒に!
目次
- はじめに
- 旅立ちの前に
- "私"一人め 高木洋子さんを訪ねて
- コラム1 自己作成の担当件数は1件です
- "親子"二人め 中村達雄さんを訪ねて
- コラム2 素人による素人のためのケアプラン
- "価値観"三人め 平岩千代子さんを訪ねて
- コラム3 「どちらか一方」ではない
- "専門性"四人め 山田圭子さんを訪ねて
- コラム4 「うちは自己作成しかなかったと思う」
- "個別性"五人め 國光登志子さんを訪ねて
- コラム5 順番が逆?
- "つながり"六人め 島村八重子さんを訪ねて
- コラム6 人財産のはなし
- 旅を終えて
- 全国マイケアプラン・ネットワークの変遷
- おわりに
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