自己作成(セルフケアプラン)といっても、ケアプランは孤軍奮闘して立てるものではありません。たくさんの人の意見を聞き、オープンな姿勢でつくっていきましょう。
まず、自分(家族)がどう生きてきて、どのように暮らしていて、この先どのように暮らしていきたいのかを考え、周りとよく話し合って、ありたい暮らし、わが家の方針を定めてください。
そして、本人ができること・できないこと、周りができること・できないこと、どうかかわるかを整理しておきましょう。ここまで整理してから、市町村の介護保険窓口を訪ねます。
「自己作成をしたいのですが…」と市町村を訪ねると、よく言われる言葉は
- どうしてですか?
- 難しくて知識がないと大変ですよ
- ケアマネジャーに依頼してもタダですから、ケアマネを探したらいかがですか?
- 毎月届けないといけないので面倒ですよ
- 絶対に間違えずにできますか?
要するに、「困ったなあ…」という顔(-_-;)をされることが多いです。これは、これまで自己作成者がいなかった自治体に多い反応です。でも、最初のひとりがきちんとやれば、後に続く人は普通に受け入れてもらえるケースが多いです。
逆に言えば、市町村で最初の自己作成者は、「道を創る人」なので、意識しながら良い道を創ってください。
ちょっと脅かしてしまいましたが、だいじょうぶ。自己作成はそんなに難しいものではありません。初めから介護保険を網羅する知識がなくても、やる気さえあれば、やっているうちにどんどん学んでいくことができます。
それに、制度のことでも、ケアプランの内容でも、書類の書き方でも、わからないことや、迷うことがあったら、市町村や地域包括支援センターにどんどん聞きにいきましょう。そうしたやり取りの中から信頼関係が生まれていくものです。
もしも、やってみて途中で無理そうだと思ったら、方向転換してそこから先をケアマネジャーに引き継いでも、まったく不都合はありません。むしろある程度自分で考えておくことで、引き継ぎもうまく行くでしょう。
市町村で後ろ向きの対応を受けたら、「自分で無理だと思ったら、ケアマネジャーに依頼しますから」と言ってみましょう。
窓口でもらう書類は以下のとおりです。
- 居宅サービス計画利用票(提供票)
- 居宅サービス計画利用票別表(提供票別表)
- ※自治体によっては、以下の書類が加わることがあります
- 居宅介護計画書(1)
- 居宅介護計画書(2)
- 週間サービス計画書
表題だけ見るととても難しいようですが、どれも、ケアプランの根拠を示す上でとても大切な書式です。内容的にはケアプラン作成の過程を書き落としていくもので、順を追って書いていけば決して難しいものではありません。進める順番は、居宅介護計画書(1)→居宅介護計画書(2)→週間計画書→居宅サービス利用票(提供票)と居宅サービス計画利用票別表(提供票別表)です。
なお、「あたまの整理箱」は、この書式をもとに、難しいお役所言葉を普通の言葉に直したものです。いきなり行政の書式では難しい場合は、「あたまの整理箱」で考えて、あとで書き写してもいいでしょう。
ただし、自己作成は「両刃の剣」です。
自分らしい暮らしを考えることで、自分自身を育て,周りとの関係を円滑にしますし、賢い利用者になることで、制度を育て,社会を育てる側面もありますが、次のような品格のない使い方をすると、介護現場も暗くなりますし、あなた自身も不愉快な暮らしを送ることにつながりますから気をつけてください。
自己作成NG集
- かかわるケアスタッフや家族と十分な話し合いをせずに、ひとりで考えた勝手なケアプランを押しつける。
- 思い込みだけで、本人不在のケアプランを立てる。
- 介護保険制度や行政への不満をケアプランにぶつける。
- 権利意識だけで、和を考えずにケアプランを立てる。
- なにも考えずに、事業者や専門家の言いなりにケアプランを立てる。